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福岡高等裁判所 昭和42年(行コ)5号 判決 1968年5月23日

福岡市上南町二二番地

控訴人

株式会社末次鉄工所

右代表者代表取締役

岡部重幸

右訟訴代理人弁護士

灘岡秀親

市馬出千代松原一、一三〇番地

被控訴人

博多税務署長

宇都宮正

右指定代理人

横山茂晴

日浦人司

石塚重夫

中山章

小林淳

右当事者間の更正決定取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。控訴人の昭和三一年九月二八日から昭和三二年九月二七日までの事業年度の法人税確定申告について、被控訴人が昭和三四年六月二七日なした再更正決定を取消す。控訴人の昭和三二年九月二八日から昭和三三年九月二七日までの事業年度の法人税確定申告について、被控訴人が昭和三四年六月二七日なした再更正決定を取消す。控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上および法律上の主張、ならびに証拠の関係は控訴人が証拠として甲第一〇号証を提出し、被控訴人が右甲号証の成立を認めると述べたほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する(ただし、原判決二枚目の末行から三枚目の一行目にかけて「控除欠損金を九〇一万五、五四三円、差引課税所得を一、一〇九万一、九九四円とし」とあるのは、「控除欠損金を九〇一万五、五四四円、差引課税所得を一、一〇九万一、九九三円とし」の誤記と認められるので、そのように訂正する)。

理由

当裁判所も控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと判断する。その理由は原判決に説示されているところと全く同様であるから、これを引用する。

当審提出の甲第一〇号証(日本大学法学部教授並木俊守の鑑定書)は昭和四〇年法律第三六号による改正前の会社更生法第二六九条第三項についての控訴人の法律上の主張に符合し、その指摘する点、たとえば「更生手続開始の時までの各事業年度の法人税額」を更生手続開始の時における未納法人税額と解するときは、過去数年間にわたって法人税の納付を怠っている不都合な会社の方が、納税の義務を果し未納のない会社より有利な取扱いを受け不合理な結果を招くことなど、傾聴に値するものがあるが、そのような点を斟酌してもなお前記認定を維持すべきものと考える。右の点も、未納法人税のない会社より、法人税の滞納を続ける会社の方が、会社更生の実を挙げさせるためには益金不算入の必要度がより高いわけであるから、必らずしも不合理とばかり言い切れない。却って控訴人の主張するところは、更生手続開始前にすでに決済され、右手続と直接関係のない会社設立以来の既納法人税額を、益金不算入の基準にしようといわねばならない。控訴人の主張には賛同できない。

よって、本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 池畑祐治 裁判官 蓑田速夫 裁判官 権藤義臣)

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